みきみに@アフリカの徒然日記

官僚を辞め、NGO職員としてアフリカ駐在中。読んで心穏やかになる記事を書いていきたい。

官僚は本当にブラックだった話

官僚を辞めてあっという間に1年…。「省庁はブラックだ」みたいな話がネットで取り上げられたり、「○○文書について集中審議」とかニュースを見たりするたびに、いまだに中で働く人々の生活を思い浮かべてしまう。実際に働いているときは、なぜかためらわれて、公に書くことはできなかったけれど、1年経った今、是非状況を書きたいと思った。なぜなら、実際に激務であり、また、その状況は中からはなかなか変えることができないと当時思っていたからであり、また、自分が外にいる今、少なくとも現状を訴えることで変えるきっかけにしたいと思うからである…。

 

省庁は激務なのか?

これは厳密にいえば「人による」となる。長時間働いている人もいれば、そうでない人もいる。長時間働いている人、というのは、23時ごろ退庁がデフォルトであり、何なら2時間睡眠が1週間続くことが1年に何回もあり、「早く帰れる」場合でも、21時に退庁できる週が3ヶ月に1週間ぐらい訪れる状況である。そうでない人もいる、というのも現状である。毎日定時とはいかないまでも、平均して定時+30分ぐらいです、っていう人もいたと記憶している。

省庁を「ブラック化」させている要因とは?

省庁をブラック化させている原因はいくつもあるとは思うが、今回は主に3つ取り上げたいと思う。

要因その1:国会対応

これは、色々なところでよく取り上げられる話である。国会が開かれる前日、議員から質問が出るのが遅く、多くの職員が自分の部署が答弁作成担当になるかどうか判明するまで待たなくてはならない…という話である。でもさすがに、職員も全員が全員、無駄な待機をしているわけではない。明らかに当たらなさそうな部署は、「連絡員」として、一人だけ残っている場合もある(もちろんそれでも無駄だとは思うが)。ただし、やっぱり「作成担当になりそう」な部署は、何人か残っていたりする。そして、作成担当にならなかったら帰宅する。やはり無駄な時間である。でも、割と忙しい部署は、待機時間は別の業務を片付ける時間にもなっているので、待機時間=本当に何もやっていない時間というわけではない場合も多い(「多い」だけで、本当に無駄に待っているだけの人もいるのは事実である)。

 

最悪なのが、作成担当として指名されてからである。指名されたからといって「はい、書きます」とならない場合もある。「いやいやこれは隣の部署が書くべきでしょ…」みたいな状況である。そうすると、まずはどこが書くか、から調整しなければならない。この調整に時間がかかる。

 

調整した挙句、結局自分の部署が作成することになることもある。そうしたら、作成⇒内容確認⇒体裁確認⇒大量印刷のこれまた長いプロセスが待っている。

 

そして、さらに最悪なのが、話題になることは似通っているので、同じ部署が大量の答弁を作成することになることが多いことである。この「運の悪い」部署に自分が所属している場合、「どうせ今日も作成担当になるんだろうな。」という待機時間、「隣の部署が書くべきだ!」という交渉時間、作成時間、そして大量印刷時間が永遠と続く…そして、本当に夜か朝なのかわからないような時間に帰宅することになる。

帰宅したはいいけれど、朝から答弁の打ち合わせがある…作成した答弁を大臣等と読み合せるわけだが、これがまた朝早かったりする(早い時は6時半とか…)。そうして、そこで変更が入ろうものなら、また印刷…という長いプロセスである。

 

そして実際に国会で答弁があり、そこで問題が発生すると、今度は別の対応…と、「運の悪い」部署は激務の無限ループに入っていく。

本当に詳細に書こうとすると長くなりすぎるので、書ききれないが、とりあえず言いたいのは国会対応は「待機」だけが問題なわけではなく、そのあともかなりの改善すべき点があるということである…。

 

要因その2:国会議員対応

こちらは、国会対応よりはあまりとりあげられない気がするが、やっぱり激務の大きな比重を占めていると思う。これは「資料説明要求」と呼ばれることもあり、議員が官僚に対して、色々なトピックに関して、「この日時に、○○について説明しにきてほしい」「この日時までに○○についての資料がほしい」という要求をし、官僚がそれに対応するものである。

 

これもこれで、1週間ぐらい準備時間があったらよい。ただ、「2時間後に○○について説明しにきてほしい」とか、金曜日の15時ごろに「土日に勉強したいので、今日中に●●についての資料がほしい」とかいう要求が度々ある。この要求を受けるや否や、腰を据えて何かを考える時間なんてなくなり、説明の資料の準備などに追われることになる。それで結局通常の業務は終わらない。それで結局残業コース。

 

そしてこれも最悪なことに、忙しい部署にこのような要求も集中するのである。説明を受ける議員は、自分の講演のネタを仕入れるため、ということもあるが、国会の質問の参考にするため、ということも多い。つまり、このような説明要求を受ける部署は結局、国会対応もしなければいけない場合も多く、昼間は要求にふりまわされ、夜は答弁作成におわれる…そんな日々になるのである…。

要因その3:人手不足

そもそも上述のような制度自体に改善の余地があることはもちろんだけれども、なかなか変わらない以上、その制度の中でどう戦っていくかを考えたときに、やっぱり人が足りないと思う。でも、これは単にマンパワーがあればよいという問題ではない。何なら激務でない人もいるのだから、仕事を平等に割り当てられれば全体的には少しはマシになるのかもしれない。問題は「仕事が一部の人に偏りすぎている」ことである。他の職場でも同じことは少なからずあるのかもしれないが、「失敗が許されない雰囲気の強い省庁」において、これはより顕著であるように思う。みんな失敗したくないから、「できる人」に頼む。意外と省庁は狭い世界なので、「できる」「できない」のイメージはなかなか覆らず、同じ人に仕事が集まる。

これを「人手不足」というのか、マネジメント不足というのか、色々な要因はあり、もっと深める必要があるとは思うが、「仕事が一部の人に偏っている」ことは事実であり、そういう人がどんどん「ブラック」な状況に陥っているように思う。

 

簡単に3点にまとめてしまったけれど、やっぱりブラックだったと思うし、中から声をあげるのは結構難しいように感じた。本当に忙しい日々では、思考力も低下するし、なんなら「この状況を打破しよう」みたいなエネルギーなんて湧いてこない…。

かといって、外の人も、別に官僚のためだけに何かを変えようとするモチベーションもそんなにないのが現状だと思う。政治家にとっても今の制度は便利であるとは思う、いつでも呼び出せて、いつでも説明してもらえるのだし、何時に質問だしてもこたえてもらえるのだし。だから、変える人がいない。

でもこのままでは本当に、官僚になる人なんていなくなる。それでも別にいいみたいな極論もあると思う。むしろいなくなるぐらいまで行かないと事態は改善しないのかな。

何ができるかを考えることを自分の宿題として、今日はここまで!